作品の魅力分析② ラブソングを叫ぶワケ
みなさん、こんにちは。朝凪そらです。
冷たい飲み物が美味しい季節ですね。クーラーの効いた部屋でアイスコーヒーを飲みながら読書をするのが最近の1番の楽しみです。
さて、作品の魅力分析シリーズ第2弾を書いていこうと思います。
今回は前回の「月と怪物」と同じく百合文芸小説コンテストに投稿された作品からピックアップ。このコンテストにおいて、1300以上の作品たちの頂点、大賞を受賞した「ラブソングを叫ぶワケ」の魅力を分析していきたいと思います。
また、作品の魅力を分析していくという特性上、ネタバレになる箇所がいくつもあると思います。pixivに作品が掲載されていますので、ぜひそちらをご覧になってから記事を読んでいただけると嬉しいです。
「ラブソングを叫ぶワケ」とは?
「ラブソングを叫ぶワケ」は、2018年11月半ばから19年1月末までpixivとコミック百合姫が共同で開催した短編小説のコンテスト「百合文芸小説コンテスト」に投稿された短編小説。
厳正な審査を勝ち抜き、このコンテストの最優秀賞である大賞を受賞した作品である。
この作品の魅力
主人公であるあさぎの心情がとても細かく描写されており、片想いの相手と一緒にいられて嬉しいという感情と自分が普段から抱いている暗い感情との対比が素晴らしかった。
また、これは「月と怪物」にも言えることだが、始まりの文章が特徴的で、読者の興味を引いていた。それがこちら。
「片想いをしていた。だから、耳元のロックの音量を上げる。」
「片想い」→「ロックの音量を上げる」という始まり方により、「いったいどういうことなんだろう?」と読者の興味を引くスタートとなっている。
また、この作品には読者の心の琴線に触れる詩的な表現が多く使われていると感じた。
個人的に特に気に入っている表現は、美波が先輩に手作りタオルを渡したという話をした際のあさぎ心情描写、
「私が塚原先輩の立場だったら、申し訳ないけどそんなタオル貰いたくないかもしれない。だって、針で縫うってことは一針ごとに感情が込められているってこと。そんなの重すぎて、汗を吸う前からべっとり湿っている気がする。」という表現。初めて読んだ時は、鳥肌が立った。
読み終えた瞬間、「さすが大賞。すごいなぁ・・・」と感じるクオリティの高さだった。
この作品から学んだこと&自分の作品にどう活かすか
この作品は、主人公であるあさぎの心情を深く掘り下げることで物語が展開されていたため、「恋愛」をテーマに小説を書く際に心情描写がどれほど大事なのかがわかった。
改めて自分の投稿した作品とこの作品を見比べてみると、自分の作品は基本的な文章力が足りていないのももちろんだが、なにより「恋愛」をテーマとして書いているくせに主人公の心の機微がちゃんと描き切れていないと感じた。
物語のジャンルやテーマごとに重要視する部分を変えること。これが大切だと学んだ。