卒業までに作家デビューを目指す大学生のブログ

最近小説執筆にはまった大学生が本気でプロデビューをするために、魅力的な作品を日々研究していくブログ

作品の魅力分析⑥ 薬屋のひとりごと

みなさん、こんにちは。朝凪そらです。

 

最近はいろいろ忙しくて更新できていなかった当ブログですが、どうしても取り上げたい作品があったので、記事を書かせていただきます。

 

では、今回で第6弾となりました、魅力分析シリーズ。今回取り上げる作品は、「薬屋のひとりごと」です。

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なぜこのタイミングで取り上げるのかと言いますと、さきほど発表されました、「次にくるマンガ大賞2019 コミックス部門」にて、この作品が1位を受賞したからです。実を言いますと私、この作品は何年も前から単行本を購入していまして、どこかのタイミングで取り上げようとは思っていたのですが、「取り上げるなら今しかない!!」と思い、記事を書くことにしました。

 

薬屋のひとりごと」とは?

中国を思わせる架空の帝国を舞台に、後宮に勤める官女が王宮内に巻き起こる事件の謎を薬学の専門知識で解くミステリー、ファンタジー、ラブコメ小説である。

2011年10月に小説投稿サイト「小説家になろう」で連載が開始され、人気を得たことから第1部「後宮編」が2012年に主婦の友社の「RayBooks」レーベルから単行本として発売された

その後、同社で刊行されたライトノベルレーベル「ヒーロー文庫」で2014年に第1部が新装刊され、以後継続されて発行されている。(2019年2月現在、8巻まで刊行)

2017年からは「月刊ビッグガンガン」(スクウェア・エニックス)と月刊サンデーGX小学館)の月刊誌2誌でコミカライズ版が連載されている

シリーズ累計発行部数は130万部を突破している。(wikipediaより引用)

 

作品の概要は、上記の通りです。今回大賞に選ばれたのは、月刊ガンガンにて連載中のコミカライズ版のようですね。

もともとは、「小説家になろう」にて連載されていた作品で、私も「なろう」の小説版を読んでみましたが、いい意味で「なろう」っぽくない作品だな、と思いました。

小説家になろう」といいますと、やはりメジャーなのは異世界系の作品ですが、この作品は「なろう」における数少ない「推理もの」です。

そして、この展開される推理の凄まじく見事なことっ!!

とても魅力的な作品ですので、是非「なろう」にて連載中の作品とコミックスの両方を読んでみてください。今回受賞した理由が、はっきりとわかります。

個人的に、「なろう作品」のコミカライズの中で、1、2を争うくらい起承転結が上手くまとまっている漫画だと思います。

 

↓こちらに、「小説家になろう」にて連載中の本作のリンクを貼っておきます。

https://ncode.syosetu.com/n9636x/

 

この作品の魅力

ありすぎて困る!! 挙げていったらキリがない!!

・・・というのが本音ですが、これでは記事になりませんので、個人的に特に魅力的だと思う点を3つほど挙げて紹介させていただきます。補足しておきますと、今回は大賞を受賞した、月刊ガンガンにて連載中のコミカライズ版の魅力について書いていきます。

 

では、1つ目は「起承転結の秀麗さ」。

とにかくこの漫画、原作小説に忠実で、すごく丁寧に物語を展開しています。小説の始まりの章である「後宮編」の内容を、コミカライズ版では4巻かけて描き上げています。ここまで細かく丁寧に物語を展開してくれるコミカライズを、私は読んだことがありません。

私も、この記事を書くにあたって、小説版の後宮編を全て読みましたが、コミカライズでは原作のセリフやストーリー展開を忠実に再現しつつ、主人公の猫猫(マオマオ)が花街に里帰りした際に起こった事件についても追加で描かれていて、改めてこの漫画の秀逸さに鳥肌が立ちました。

 

では、次に2つ目「絵がとにかく美しい」。

表紙を一目見た時点で、最初に浮かぶ感想が、これだと思います。この漫画、とにかく、凄まじく、絵が綺麗です。

なにより素晴らしいのが、キャラクターたちの表情。主人公の猫猫(マオマオ)の考えこんでいる様子や、宦官の壬氏(ジンシ)が猫猫に向ける興味深げな目線など、喜怒哀楽の移り変わりが丁寧に描写されていて、表情一つからキャラクターたちの心情が伝わってくるようです。

あと、個人的に大好きな、猫猫が壬氏に向ける、「ナメクジでも見るような目」。猫猫が心底うんざりしている様子が見てとれる、最高の表情です。

 

では、最後に3つ目「コマ割りと1話ごとの終わり方」。

個人的に、この漫画がここまでレベルの高い作品になっている理由は、ここにあるのではないかと思います。

漫画において、物語の展開スピード、つまりコマの割り方は、極めて重要だと私は思います。上記2つの魅力も、1話1話がきちんと仕上がっていなければ、全体としてハイクオリティになることはありません。

その点、この漫画は凄まじいです。1話読むごとに、続きが気になって仕方ない。

そして、1話1話の物語の展開速度が速すぎず、遅すぎない。

「読者が続きを読みたいと感じる作品」という、作品を世に送り出す上で一番重要な点を、この漫画はしっかりとおさえられていると深く感じることができました。

 

以上が、私がこの作品の特に魅力的だと思う点です。ずっと読んできた作品だけに、大賞に選ばれたとTwitterで話題になったときには、飛び跳ねて喜びました。

これからも、この作品がもっともっと話題になってくれるように願いをこめて、この記事の締めとさせていただきます。

記事をここまで読んでいただき、ありがとうございました!

作品の魅力分析⑤ 謎好き乙女と奪われた青春

みなさん、こんにちは。朝凪そらです。

先ほど吉本芸人二人の会見を見ていたのですが、まさに「窮鼠猫を噛む」。謝罪会見が一転、暴露会見に様変わりしました。

二人の勇姿、しかと目に焼き付けました。噛まれて大ケガを負った社長さんの進退が気になるところですね。

 

では、前置きはこれくらいにして、ブログ更新、頑張っていきましょう!

今回で第5弾となりました、魅力分析シリーズ。百合文芸小説コンテストの作品で特に取り上げたかった作品は取り上げさせていただきましたので、今回からは、私が最近出会って、特に面白かった小説をピックアップしていきます。

 

そして今回からなのですが、作品がネット上に掲載されていない作品がほとんどになると思いますので、ネタバレは極力せずに作品の魅力を分析していくことにします。

 

では気を取り直して、今回はこちら、「謎好き乙女と奪われた青春」を取り上げていきたいと思います。

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(画像は出版社特設サイトより引用)

「謎好き乙女と奪われた青春」とは?
元は小説投稿サイトE★エブリスタに掲載されていた作品で、スマホ小説大賞新潮文庫賞受賞作品。2015年3月に出版された。「謎好き乙女と奪われた青春」は、4冊ある「謎好き乙女シリーズ」の1巻目にあたる作品。

 

あらすじ

藤ヶ崎高校一の美少女、早伊原(さいばら)樹里は恋愛に興味がない。友情にも興味がない。もちろん、部活にも。彼女が愛してやまないこと、それは日常に潜む謎。衆目の中ですり替えられた花束。学年全員に突如送られた告発メール。教室の反対側からの不可能カンニング。やがて僕の過去が明らかになるとき、「事件」の様相は一変し......。彼女と「僕」が織りなす、切なくほろ苦い、青春ミステリ。

(出版社特設サイトより引用)

 

この作品の魅力

この作品の魅力を語る上で外せないのが、表紙に描かれている美麗なイラストだろう。

ところで諸君、この表紙の絵柄、どこかで見たことはないだろうか。そう、なんとこの作品、アニメ化もされた大人気ラブコメかぐや様は告らせたい」の作者である、赤坂アカ先生が表紙とキャラクターデザインを担当しているのだ。表紙のイラストだけではメインヒロインである早伊原樹里しか姿がわからないが、新潮文庫の特設ページにて他のキャラのキャラデザも公開されている。

ちなみに、私、朝凪そらも「かぐや様」は最新刊まで全巻購入済みである。

 

次に、内容について語ろう。この作品、とにかく作中に登場する「謎」の作りこみが素晴らしい。第1巻で特に衝撃を受けたのは、「全校生徒が注目する壇上で一瞬で花束を入れ替える方法」。提示されたヒントから様々な推測を立てながら読み進めたのだが、一つも当たらず、予想外のトリックが解明されていた。

最近ミステリーにはまり始めた私にとって、この衝撃はかなりのものだった。これから当分の間は、ミステリーを読み漁ることになりそうだ。

 

この作品から学んだこと&自分の作品にどう活かすか

私はミステリーを題材に小説を書いたことはないが、もしも書くことになった場合、この作品をお手本にするだろうと思う。どのタイミングでヒントを提示し、いかに読者に予想外の謎を提供するか、というミステリーにおいて最も重要な部分を学ぶことができた作品だった。

 

 

 

 

 

作品の魅力分析④ なにうじうじしているんですか、このいくじなし!

みなさん、こんにちは。朝凪そらです。

昨日は、あまりにも悲惨な事件が起きたため、ブログを更新できる精神的な余裕はありませんでした。しかし、立ち直らないわけにもいきません。涙を拭って、今日からは更新、再開します。


さて、今回はシリーズ第4弾です。
前回の「サリーとアンの秘密」と同じく、百合文芸小説コンテストにおいて、百合姫賞を受賞した作品「なにうじうじしているんですか、このいくじなし!」について取り上げたいと思います。

そして、なんとこの作品の作者、みかみてれん先生は第一線で活躍されているプロの作家さんです。
もちろん私、朝凪そらも大ファンです。観葉植物から百日百合シリーズの最新巻まで、Kindleストアで揃えられるみかみてれん文庫の作品は全て読破済みです。小説の内容ももちろんなんですが、表紙のイラストも本当に綺麗で、大好きな作品たちです。

(毎度のことですが、作品の魅力を分析するという特性上、ネタバレになる箇所が多くあると思いますので、ぜひpixivに掲載されている作品をご覧になってから、記事を読んでいただけると嬉しいです。)

↓作品のリンクはこちら

www.pixiv.net



「なにうじうじしているんですか、このいくじなし!」とは?
「なにうじうじしているんですか、このいくじなし!」は、2018年11月半ばから19年1月末までpixivとコミック百合姫が共同で開催した短編小説のコンテスト「百合文芸小説コンテスト」に投稿された短編小説。
厳正な審査を勝ち抜き、百合姫賞を受賞した作品である。

この作品の魅力
とにかく文章が読みやすく、キャラ同士のかけ合いがめちゃくちゃ面白い。なにより、約8500字でここまで完成された作品になっていることに心底驚愕する。ほかの最終選考に残った作品たちの文字数を確認してみると、多くの作品は基準の2万文字をギリギリまで使って書きあげられている。私も19000文字くらい使った。というのも、短編小説は少ない文字数で起承転結を完成させないといけないので、ギリギリまで使わないとストーリーを上手くまとめられないからだ。
しかし、そこはさすがプロ。登場人物はたった2人、時系列でみても帰り道のほんの15分ほどの出来事。だというのに、これほどの完成度と読後感。
書かれている文章から、周りの状況、キャラクターの姿や表情変化、心の動きに至るまで、全てがイメージできた。たった8500程の文字数でこれほどの完成度の作品を作り上げるとは・・・。脱帽である。

 

この作品から学んだこと&自分の作品にどう活かすか

プロの作家さん、マジですごい!!!

ただただ、この一言に尽きる。
「読みやすい文章」というものの模範例を見られた作品だった。この2人の会話を何度も読み返して、言葉選びのセンスを磨いていきたいと思う。

作品の魅力分析③ サリーとアンの秘密

みなさん、こんにちは。朝凪そらです。
魅力分析シリーズ、今回は第3弾です。
今回どの作品を取り上げるかは、特に悩むことなく決まりました。
というのも、百合文芸小説コンテストで大賞と百合姫賞を受賞した3作品は必ず取り上げたいと考えていたからです。
今回は、百合文芸小説コンテストにおいて、百合姫賞 (他の小説コンテストで言うところの優秀賞、でしょうか?) を受賞した作品の1つである、「サリーとアンの秘密」について取り上げたいと思います。

 

また、作品を魅力を分析していくという特性上、ネタバレになる箇所がいくつもあると思います。pixivに作品が掲載されていますので、ぜひそちらをご覧になってから記事を読んでいただけると嬉しいです。

www.pixiv.net

 

「サリーとアンの秘密」とは?
「サリーとアンの秘密」は、2018年11月半ばから19年1月末までpixivとコミック百合姫が共同で開催した短編小説のコンテスト「百合文芸小説コンテスト」に投稿された短編小説。
厳正な審査を勝ち抜き、百合姫賞を受賞した作品である。


この作品の魅力
入れ替わりモノというのは、ジャンルとしてはそこまで珍しいものではない。しかし、この作品に関してはかなり稀有タイプだと感じた。というのも、大抵の入れ替わりモノは入れ替わる当人たちに不利益が多く、その状況に悪戦苦闘する様子が描かれる場合が多い。
例えば、「君の名は。」では三葉も瀧もお互いの生活スタイルに慣れるまで、かなり苦労している様子が描かれていた。「ココロコネクト」では特にそれが顕著に表れており、ランダムで中身入れ替わるせいでメンバー全員が相当まいっていた様子が確認できる。
だが、この作品の2人はどうだろう。これらの前例に全く当てはまっていない。お互いの生活スタイルを逆転させた途端、これでもかというほど歯車が噛み合っている。こんなパターンは見たことがなく、とても新鮮に感じた。

 

そして、私がこの作品の最大の魅力だと感じた会話がある。

それが、物語終盤の「あのさ。あたしたちって、きっとさ」から「なおせなおせ、って?」までの二人の会話。

あくまで私の個人的な感想ではあるが、この短編小説は、このシーンのために書かれたものなのではないか、と思った。尊さに対するキャパシティーをこのシーンが一気に超えた感覚があった。ただただ、素晴らしかった。

 

この作品から学んだこと&自分の作品にどう活かすか

この作品は、いい意味で予想を裏切られた作品だった。入れ替わりいうジャンルにおけるよくある展開、よくある設定がこの作品にはなく、二人の女の子の人生が入れ替わりをきっかけにして好転し始めるという斬新な展開が素晴らしかった。なにより、この物語の「核」みたいなものが、はっきりと読者に届いていると感じた。

どう活かすかという点については、「これはどんな物語なのか」という核となる部分をしっかりと持つことが大切なのではないか、と強く感じた。

作品の魅力分析② ラブソングを叫ぶワケ

みなさん、こんにちは。朝凪そらです。

冷たい飲み物が美味しい季節ですね。クーラーの効いた部屋でアイスコーヒーを飲みながら読書をするのが最近の1番の楽しみです。

 

さて、作品の魅力分析シリーズ第2弾を書いていこうと思います。

 

今回は前回の「月と怪物」と同じく百合文芸小説コンテストに投稿された作品からピックアップ。このコンテストにおいて、1300以上の作品たちの頂点、大賞を受賞した「ラブソングを叫ぶワケ」の魅力を分析していきたいと思います。

また、作品の魅力を分析していくという特性上、ネタバレになる箇所がいくつもあると思います。pixivに作品が掲載されていますので、ぜひそちらをご覧になってから記事を読んでいただけると嬉しいです。

www.pixiv.net

 

「ラブソングを叫ぶワケ」とは?
「ラブソングを叫ぶワケ」は、2018年11月半ばから19年1月末までpixivとコミック百合姫が共同で開催した短編小説のコンテスト「百合文芸小説コンテスト」に投稿された短編小説。
厳正な審査を勝ち抜き、このコンテストの最優秀賞である大賞を受賞した作品である。

 

この作品の魅力

主人公であるあさぎの心情がとても細かく描写されており、片想いの相手と一緒にいられて嬉しいという感情と自分が普段から抱いている暗い感情との対比が素晴らしかった。

また、これは「月と怪物」にも言えることだが、始まりの文章が特徴的で、読者の興味を引いていた。それがこちら。

 

「片想いをしていた。だから、耳元のロックの音量を上げる。」

 

「片想い」→「ロックの音量を上げる」という始まり方により、「いったいどういうことなんだろう?」と読者の興味を引くスタートとなっている。

 

また、この作品には読者の心の琴線に触れる詩的な表現が多く使われていると感じた。

個人的に特に気に入っている表現は、美波が先輩に手作りタオルを渡したという話をした際のあさぎ心情描写、

「私が塚原先輩の立場だったら、申し訳ないけどそんなタオル貰いたくないかもしれない。だって、針で縫うってことは一針ごとに感情が込められているってこと。そんなの重すぎて、汗を吸う前からべっとり湿っている気がする。」という表現。初めて読んだ時は、鳥肌が立った。

 

読み終えた瞬間、「さすが大賞。すごいなぁ・・・」と感じるクオリティの高さだった。

 

この作品から学んだこと&自分の作品にどう活かすか

この作品は、主人公であるあさぎの心情を深く掘り下げることで物語が展開されていたため、「恋愛」をテーマに小説を書く際に心情描写がどれほど大事なのかがわかった。

改めて自分の投稿した作品とこの作品を見比べてみると、自分の作品は基本的な文章力が足りていないのももちろんだが、なにより「恋愛」をテーマとして書いているくせに主人公の心の機微がちゃんと描き切れていないと感じた。

物語のジャンルやテーマごとに重要視する部分を変えること。これが大切だと学んだ。

作品の魅力分析① 月と怪物

みなさん、こんにちは。朝凪そらです。

今日から本格的にブログ更新を進めていこうと思います。

 

さて、作品の魅力分析の第1弾、どの作品を取り上げようか悩みましたが、やはり最初は私が作品を投稿した百合文芸小説コンテストにおいて、圧倒的な文章力と壮大なストーリーで百合クラスタの話題をさらった、怪物作品「月と怪物」について取り上げたいと思います。

また、作品の魅力を分析していくという特性上、ネタバレになる箇所がいくつもあると思います。pixivと下記の「アステリズムに花束を」に作品が掲載されていますので、ぜひそちらをご覧になってから記事を読んでいただけると嬉しいです。

www.pixiv.net

 

「月と怪物」とは?

「月と怪物」は、2018年11月半ばから19年1月末までpixivとコミック百合姫が共同で開催した短編小説のコンテスト「百合文芸小説コンテスト」に投稿された短編小説。

コンテストの結果発表の後、百合SFアンソロジーノベルである「アステリズムに花束を」に収録され、作者である南木義隆さんの商業デビュー作品となった。

↓その表紙がこちら

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このアンソロジーノベルに収録されている作品はどれも非常にレベルが高いものばかりだったが、その中でも特にこの作品には凄まじい熱量を感じた。

 

この作品の魅力

圧倒的な文章力で紡がれる、時代背景の説明、キャラクター同士の会話、そして何より完璧すぎる物語の起承転結のバランス。まさに、「傑作」という感想が最初に頭に浮かぶ凄まじい作品だった。

また、物語の始まりの一文が読者の興味を引きつけて離さなかった。

その一文目が、こちら。

 

『国家というこの世界を我が物顔で闊歩する巨獣が互いを喰らいちぎり、血を流し身もだえするかのような時代にセーラヤ・ユーリエヴナは産み落とされた。』

 

とても百合小説の始まりの一文とは思えない。そして同時に、作者の非常に高い文章力が見て取れる。文字数で見れば2万字弱の短編小説であったが、読後感は長編小説にも引けを取らないくらいに物語の密度が高い作品だった。

 

この作品から学んだこと&自分の作品にどう活かすか

このような壮大な物語を執筆する場合、何より世界観の設定は完璧にしなければいけないなと感じた。「月と怪物」ではソヴィエト連邦が舞台だったが、とにかく時代背景の説明が徹底されていた。難しい社会学的な用語を多く登場させつつ、ソヴィエト連邦について全く知らない読者でも理解しやすい説明をすることで、物語に厚みを持たせていた。

また、キャラクターの同士の会話についても言葉選びのセンスが非常に高かった。エカチェリーナとセーラヤの掛け合いは、文章を読んでいるだけなのにセーラヤが皮肉げに笑い、エカチェリーナがうんざりした表情でそれを聞く様子が目に浮かぶようだった。

 

執筆歴が非常に浅い私には、このようなハイレベルな文章力はない。だが、世界観の設定やキャラクターの個性に関しては、プロットを徹底的に煮詰めれば、ある程度のレベルにはなれるはずである。というのも、読んできた小説や漫画の量に関しては、それなりに自信があるからだ。

この作品を通して学んだことは、勢いに任せて考えなしに作品を書いたところでいい作品は作れないということだ。人の胸を打つ小説を書くのなら徹底的に、世界観からキャラクター1人1人まで掘り下げて、読者が深く共感できるような作品を作らないといけないと感じた。

自己紹介と今後の方針

はじめまして、みなさん。

2019年7月現在、大学生をしております、朝凪そらと申します。

私はもともとすごく読書が好きで、小学生の頃から毎日のように本を読んできました。大学生になった現在も、アルバイトで稼いだお金のほとんどを本に費やす生活を送りつつ、毎日をそれなりに楽しく過ごしています。

 

さて、そんな私ですが、先日ついに20歳になり、1つどうしても叶えたい夢ができました。それは、(できれば大学卒業までに)小説家としてプロデビューすることです。

 

これまで、誰に公開するわけでもなく細々と小説を書くことはありましたが、一度もちゃんとした一本の作品を書き上げたことがありませんでした。

なので半年ほど前に一念発起し、ネット上で開催されていた百合文芸小説コンテストに2万文字弱の短編小説を書き上げ、応募しました。

結果は、最終選考に残れず、落選。最初なんだから当たり前のこととはいえ、それなりに落ち込みました。

同時に、最終選考に残った作品を全て読み、自分の作品に何が足りなかったのかを分析しました。はっきり言って、何もかも足りてなかった、というのが第一印象です。世界観の設定、キャラクターの心情描写、ちょっとした会話の言葉選びのセンス、そして何より、全体的な文章力。小説を書く上で一番重要なものが全然足りていない印象を強く受けました。

 じゃあ、文章力を上げるにはどうすればいいのか、と考えたとき、「こんなものはとにかく書いて書いて書きまくって、徐々に伸ばしていくしかない」と思いました。

このブログでは、私が最高の小説を書きあげるために、古今東西様々な漫画や小説、ライトノベル等を「この作品の魅力的な点は何か」、「その魅力を自分の小説にどう活かすのか」という観点から分析していこうと思います。

 

そして、各作品の分析結果については、完全に私の価値観が反映されます。

「そこは違うんじゃない?」と思われる箇所も多くあると思います。そんなときは、コメントをつけて指摘していただけるとありがたいです。私としても、なるべく多くの人の価値観に触れていき、視野を広げたいと思っていますので。

 

また、書いた小説をどこで公開するのかについては、おそらく近いうちにLINEノベルの正式サービスが開始されると思うので、そこで公開していこうかなと思います。

小説家になろうにも投稿しようか迷いましたが、なんとなく作風がサイトの空気に合わないかなと思ったので、やめておきます。

 

では、これから本気でプロデビューできるように頑張っていこうと思いますので、ちょっとした暇つぶしくらいに読んでいただければ嬉しいです。