卒業までに作家デビューを目指す大学生のブログ

最近小説執筆にはまった大学生が本気でプロデビューをするために、魅力的な作品を日々研究していくブログ

作品の魅力分析① 月と怪物

みなさん、こんにちは。朝凪そらです。

今日から本格的にブログ更新を進めていこうと思います。

 

さて、作品の魅力分析の第1弾、どの作品を取り上げようか悩みましたが、やはり最初は私が作品を投稿した百合文芸小説コンテストにおいて、圧倒的な文章力と壮大なストーリーで百合クラスタの話題をさらった、怪物作品「月と怪物」について取り上げたいと思います。

また、作品の魅力を分析していくという特性上、ネタバレになる箇所がいくつもあると思います。pixivと下記の「アステリズムに花束を」に作品が掲載されていますので、ぜひそちらをご覧になってから記事を読んでいただけると嬉しいです。

www.pixiv.net

 

「月と怪物」とは?

「月と怪物」は、2018年11月半ばから19年1月末までpixivとコミック百合姫が共同で開催した短編小説のコンテスト「百合文芸小説コンテスト」に投稿された短編小説。

コンテストの結果発表の後、百合SFアンソロジーノベルである「アステリズムに花束を」に収録され、作者である南木義隆さんの商業デビュー作品となった。

↓その表紙がこちら

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このアンソロジーノベルに収録されている作品はどれも非常にレベルが高いものばかりだったが、その中でも特にこの作品には凄まじい熱量を感じた。

 

この作品の魅力

圧倒的な文章力で紡がれる、時代背景の説明、キャラクター同士の会話、そして何より完璧すぎる物語の起承転結のバランス。まさに、「傑作」という感想が最初に頭に浮かぶ凄まじい作品だった。

また、物語の始まりの一文が読者の興味を引きつけて離さなかった。

その一文目が、こちら。

 

『国家というこの世界を我が物顔で闊歩する巨獣が互いを喰らいちぎり、血を流し身もだえするかのような時代にセーラヤ・ユーリエヴナは産み落とされた。』

 

とても百合小説の始まりの一文とは思えない。そして同時に、作者の非常に高い文章力が見て取れる。文字数で見れば2万字弱の短編小説であったが、読後感は長編小説にも引けを取らないくらいに物語の密度が高い作品だった。

 

この作品から学んだこと&自分の作品にどう活かすか

このような壮大な物語を執筆する場合、何より世界観の設定は完璧にしなければいけないなと感じた。「月と怪物」ではソヴィエト連邦が舞台だったが、とにかく時代背景の説明が徹底されていた。難しい社会学的な用語を多く登場させつつ、ソヴィエト連邦について全く知らない読者でも理解しやすい説明をすることで、物語に厚みを持たせていた。

また、キャラクターの同士の会話についても言葉選びのセンスが非常に高かった。エカチェリーナとセーラヤの掛け合いは、文章を読んでいるだけなのにセーラヤが皮肉げに笑い、エカチェリーナがうんざりした表情でそれを聞く様子が目に浮かぶようだった。

 

執筆歴が非常に浅い私には、このようなハイレベルな文章力はない。だが、世界観の設定やキャラクターの個性に関しては、プロットを徹底的に煮詰めれば、ある程度のレベルにはなれるはずである。というのも、読んできた小説や漫画の量に関しては、それなりに自信があるからだ。

この作品を通して学んだことは、勢いに任せて考えなしに作品を書いたところでいい作品は作れないということだ。人の胸を打つ小説を書くのなら徹底的に、世界観からキャラクター1人1人まで掘り下げて、読者が深く共感できるような作品を作らないといけないと感じた。